お早うございます。早起きディレクターです。
久しぶりにTV業界の話を少々。
インターネットの「X」で、とあるテレビ番組の編集マンに関する記事が投稿されていて、その過酷な勤務時間が少し物議を醸しているのを知り「やっぱり自分たちのいた環境って普通とは違っていたのかな?」とあらためて考えてしまいました。
その記事の画像には、その編集マンの務めるスタジオの使用時間が「10:00〜34:00」と写っていたからです。
「10:00〜34:00」・・・つまり朝の10時から翌朝の10時まで24時間ぶっ通しで編集作業するということです。
そのSNSを見た人の多くが「闇だ」とか「ブラック企業だ」などと反応しているわけですが、自分の体験で言えば、これはまあ「よくあること」でした。
優秀な編集マンたち。編集担当とテロップ作り担当。 |
ああ、懐かしくて最悪!だった徹夜編集の時間
というのも自分たちの時代でも15分や20分くらいのコーナーVTRの編集(あくまでスタジオでの完パケ編集です) なら3、4時間で終えますが、番組完パケでしかも1時間や1時間半くらいの尺のものだと朝10時から始めて深夜12時までかかるのは当たり前。
それから翌朝10時までの完徹作業というのも普通にあったからです。
また特番などの場合は翌朝の10時どころか、さらに次の日までかかることもありました。
ちなみに作業中は3度の食事も出前ものばかり(のびた麺類か冷えきった丼物が多かった!)で、ずっと座ってるから胃はもたれるし、栄養も偏るし、みんな風呂にも入らないからスタジオ内は悪臭だらけ。
そこらじゅうにお菓子の残りかすや脱いだ靴下なんかが転がっていてろくなもんじゃありませんでした。
しかも、一緒に作業する人間がもし気の合わない先輩とかだったら地獄です。
(とくにアシスタント時代)
いまでもよく思い出しますが、ADの頃には完全徹夜が2日も3日も続いた朝はなんだか”太い鉛の棒を喉からむりやり飲みこまされたよう”な最悪な気分でした。
ああ、懐かしい。
だけど、もう徹夜作業は勘弁してください。
TV業界で一番しんどいのはだーれだ?
ま、それでも自分はディレクターという指示する立場ですから、作業中は実際に編集作業するわけではありません。
なんてったって最もつらいのは実際に作業するスタジオ編集マンでしょう。
だって、ディレクターたちは自から企画したやりたい番組をVTR収録し、それを好きに仮編集してそしてその素材を持ってスタジオにやってくるわけですから。
しかも別に年がら年中スタジオに篭っているわけではありません。
逆に編集マン達はだいたいが編集スタジオ専属ですから、どんなに嫌なディレクターやプロデューサに対しても平然と時ににこやかに接しなければならない。(一応、客ですから)
しかも面白くもない番組やコーナーVTRも黙々と編集作業しなければならない。(これがつらい!)
それでも、担当者がちゃんと時間通り(朝10時なら10時)に来ればいいいけれど「まだ仮編が完成しない💦」とかの理由でお昼前にようやく顔をだすような難儀なディレクターもよくいます。
中にはなんの連絡もなく毎回遅れてくる輩もいるそうです。
で、そんなのに限って作業が始まれば編集マンを尻目に居眠りしたり別の番組の作業をしだしたり。
ほんと、やれやれです。
開始が遅れれば当然、終わる時間も遅くなるわけですから、編集マンの生活時間もそれだけ削られるわけです。
若い家族持ちの編集マンならば家で奥さんも子ども達も待っているだろうに。
今は自分のパソコンで仮編してから編集室に行く |
で、もし編集室にディレクター以外にも制作側の人間がいる場合(例えばそれが局Pなどでディレクターより権限のある人。しかもその人がちょっと困った船頭さんだったりした場合)はさらに事態は悪化します。
たぶんボロクソに言われるであろうディレクターもつらいけれど、余計な火の粉を浴びまくる編集マンもかなり気の毒です。
何度か編集マンが辛抱しきれずにぶち切れているのを見たこともあります。
とにかくお体だけは気をつけてください
というわけで、そんな無茶な人たちと対峙しなければならない編集マンの仕事って本当に大変だなあ、といつも心から感謝&応援しています。
仲良しの編集マンで実際に体調を悪くした人も何人か知っていますが、やっぱり編集スタジオって体に良い環境とはなかなか言い難いですから。
ちなみに自分は50代の頃から不必要な徹夜作業はできるだけ避けて、夜は寝て朝早く起きて作業するようになりました。
だから「早起きTVディレクター」と名乗っています。
でも、編集マンって相手の時間や都合に合わせる仕事ですからそうもいかんのですよねえ。
全国の編集案の方々へ。
とにかく余計なストレスはためずに、たまには外に出るなりして体だけは気を使ってくださいね。
やっぱり最後は健康です。
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