お早うございます。早起きディレクターです。
僕の父親は今年89歳なんですが、それでも頭はまだしっかりしていますし、杖頼りではあるものの自分の足で歩くこともできます。
とはいえ流石に最近は目も耳も衰えてきたようで、あんなに凝っていたオーディオ機器も全部処分してしまい(スピーカーは僕が引き取りました)、特に4年前に母が亡くなった頃からは大好きだった音楽もほとんど聞かなくなっていました。
そんな父が先日、屋外で転倒してしまい入院することになりました。
慌てて病院に駆けつけましたが、幸い症状はそれほど重くなく「念の為、頭などの検査をしましょう」という医師の提案にしたがい、1週間ほど病院で様子を見ることになりました。
それで一安心のはずだったんですが、まだまだ事件は続きます。
父は今回の一件がよほどこたえたらしく「もうこれ以上周りに迷惑をかけたくない」と、病院での治療や食事などを一切、拒否しはじめたんです。
父のハンガーストライキ
お医者さんがどれだけ宥めても診察は受けませんし、食事どころか水さえ口にしません。
そこで困りはてた看護師さんから連絡があり、慌てて特別面会の許可をもらい、父に会ってきました。
最初は息子がどれだけ説得しても、頑として水を飲もうとしません。
でも、妻が口にした言葉には少しだけ心が揺らいだようです。
「自分の寿命は自分では決められないんだから」
ようやく水を少し飲んだらちょっとは気が落ち着いてきたのでしょう、張り詰めていた表情が緩みはじめてきました。
そして僕は「この機を逃すまいぞ」とばかり、持参していたスマホで音楽をかけ、イヤホンを父の耳に添えて曲を聴かせました。
若き日の父が大好きだった「ブルームーン」です。
演奏は僕のジャズギターの師匠でもある山口武さんと、かの有名なベーシスト、ロン・カーターさんです。
「ブルームーン」山口武&ロンカーター アルバム「Angel eyes」より
音楽を聴いた瞬間にして父の瞳に光が宿りました。
実はこれと同じようなことが、今年の正月にもあったんです。
元日の朝、あまりにも元気がなさそうだったので、スマホで「ブルームーン」を聞かせたところ、なぜか急に元気になり、突然おせちを美味しそうにぱくぱく食べ出した。
珍しくお酒も少々。
「やっぱり生活には音楽が必要なのだな」と、その時以来ずっと思っていました。
そこで、今度はわが家のちっちゃなCDラジカセを病室に持ち込んで、ありとあらゆるジャンルの音楽を用意しました。
田端義夫、ジョニー・キャッシュ、アール・クルー、ビル・エバンズ、三橋美智也、民謡、ジャズ etc
CDラジカセを置く棚は看護師長さんが用意してくれました。
天王寺の早石病院の看護師さんは皆さん本当に親切なんです。
「あれ以来、お父さんはとても生き生きしてます。今日はお風呂にもすすんで入りましたよ」と、翌日、看護師さんも嬉しそうに伝えてくれました。
病院の皆さんありがとう。
そして、音楽よありがとう。
やっぱり”音楽の力、恐るべし”です。
ちなみに父は今「”ちあきなおみ全曲集”にハマっている」と申しておりました。
やれやれ😅
でもよかった。
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