お早うございます。早起きディレクターです。
最近は北京オリンピックには目も向けず読書三昧の日です。
とはいえ還暦を過ぎて年々老眼が辛くなってきたので、若い頃に感動した本をもう一度読もうと本棚の奥から引っ張り出してきたら、その字のあまりの小ささにかなり当惑しました。
やれやれです。
でも目をきゅっと細めながら頑張って読み進むうちに、数分でまたまた心をわしっ!と掴まれて、もう離れられなくなる小説。
山本周五郎先生の「さぶ」ってやっぱり素晴らしい作品です。
山本周五郎「さぶ」
この時代物小説を読むのはほぼ45年ぶりで、詳細はほとんど忘れていましたが冒頭の印象的な文章だけはしっかり覚えていました。
《小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていった》
僭越ながら言わせていただければ、小説のつかみとしてこの冒頭は最高だと思います。
たしかノンフィクション作家の沢木耕太郎さんも若い日に海外を旅している途中、中東かどこかで「さぶ」を偶然手に入れて、冒頭の一行を読んだだけで涙した、という文章をどこかで読んだことがあります。
それだけ山本周五郎さんの文章って日本人の琴線を刺激するんでしょうか。
結局、読み終わるのに今回は1日半ほどかかりましたが、山本先生の小説って冒頭も良いけど、その展開力、人情や世間の機微の描写力、そしてなにより”物語のエンディング”へのもっていき方が毎回秀逸で感動的なんです。
世間&人情機微学習小説・・・とでも言いましょうか
これぞプロの物書き、とうならされます。
そして、その結末にこれまで何度落涙したことでしょうか。
というわけで、今回のこの「さぶ」のエンディングでもひさしぶりの号泣でした。
しかし老眼は進むし涙で目はしょぼしょぼするしで年をとっての読書も大変です。
若い頃は「老後は読書生活を楽しもう」と目論んでいたのですが、老眼のことは盲点でした。
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