お早うございます。早起きディレクターです。
最近はテレビ番組の放送などで傑出した出来映えのものを「神回」などど呼ぶようですが、作り手であるディレクター自らがそんな言葉を使うのはさすがに面映ゆくてはばかられます。
そこは1歩、いえ10歩ひいて「あの回はそこそこの出来でした」くらいにとどめておくのが日本のおっさんディレクターらしい奥ゆかしさというか、謙虚さというものだと思います。
でもまあ、長いことディレクターをやっていると、たまには”ラッキーパンチ”も当たるもので、個人的にも思い出に残る「上回(かみかい⇒上中下の上です)」の時もたまにはあります。今回はその時のロケハン写真をご覧ください。
写真の前半に登場する人物を見れば「ああ、あの時の放送か・・・」と分かる方もいると思いますが、事前ロケハン時にはこれほど中身がてんこ盛りの回になるとも思わず、他にもたくさんの場所を訪れてかなりもったいないことをしてしまいました。
でもまあ、無駄があるからこそ有意義なロケができるとも言えるのですが。
暇なディレクターのある日のロケハン写真 2015年8月
時は2015年の夏休み後半8月24日。
まずは今回のロケの起点となる男性のお宅をアシスタント嬢たちと一緒に訪問しました。
「えほん旅」に詳しい人ならこの写真の男性をたぶんご存知でしょう。
その名は大西清和さん。
そう、絵本作家・長谷川義史さんの小学校時代の恩師です。
大西先生は幼い長谷川さんに”絵を描く心得”を教えてくれた、画伯にとってとても大切な人物です。長谷川さんの絵本「おおにしせんせい」でもそのあたりのエピソードは描かれています。
長谷川さんはちょうどこの頃、あるイベントをきっかけに数十年ぶりに先生と連絡が取れたばかりでした。
そこでディレクターは今回の旅に登場してもらうべく挨拶に訪れたわけです。
これは長谷川さんが京都のイベント用に描いた先生との思い出壁画を縮小したものを贈ってもらったそうです。
この日、大西先生は挨拶もそこそこに我々スタッフの下見のために村中を駆け回って案内してくれました。
小学校を退職後は近所の畑で野菜や米を育てながら、今は精力的に絵も描いているんだそうです。
先生は86歳と思えないほどエネルギッシュ!
とにかく目も耳も達者で、しかも初めて出会ったと思えないほど親しみを持って時にユーモアを交えながら我々と接してくれます。
背筋もピンとしていて・・・きっと頼りがいのある教師だったんでしょうね。
先生の大好きな棚田にも連れて行ってもらいました。
校舎から懐かしい音色が届いていました。
さらにロケハンは続く
その後先生と別れてからもさらにロケハンは続きます。
「とびだせ!えほん」は旅のコーナーですから、やっぱり村の歴史や生活も知っておきたいですからね。
この村の有名人といえばなんと行っても楠木正成公です。
井戸のそばの貸し畑では大阪市内から趣味の農業のために車で通っているというご夫婦とも出会いました。
山の自然も神社もすべて絵になります。
でも本番のロケでここを訪れることはありませんでした。
そしてロケ当日・・・
ロケ当日は大西先生と約束した時間まで、まず村の中をあてもなく散策することにします。
そして、たまたま見つけた田んぼを歩いていると、その坂道から湧き立つ雲と空が素晴らしすぎました。
まさに「坂の上の雲」の世界です。
雲に見とれていると時間はおだやかに過ぎていきました。
大西先生との再会
そして昼前、ついに、長谷川さんと大西先生の再会が実現しました。
ロケは順調にすすみます。
棚田を前に恩師との語らいシーンを撮影するスタッフ。
さらに!ロケは順調に進みすぎて・・・いつしか大西先生が現場を切り盛り(ディレクション)してくれるようになりました😅
まずは自身の畑で農業体験。
棚田のそばの中学校ではこの日もブラスバンドが練習をしていました。
そこで馴染みの中学校ということで大西先生が取材交渉をしてくれます。
助かります。
生徒たちの練習風景を熱心に見つめる先生。
長谷川さんもいつもとはちょっと違う表情です。
ディレクター大西先生が作った「上回」
そんなこんなで大西先生の尽力によりロケは順調すぎるほど順調に進み、あっというまに夕方近く。
最後はちょっぴり感動的なお別れのシーンもありました。
こんな時かならず田中カメラマンはうれしそうに写真に加わります(中央)。
スタジオ用に長谷川さんが描いた絵にはもちろん今回の主役である大西先生が登場していました。
もちろんロケ当日は金剛山に登っている時間はありませんでした(笑)
大西先生、またお会いできる日を楽しみにしています。
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