ジャズとは1分の曲を1分で作曲すること〜ビル・エヴァンズ〜
お早うございます。早起きディレクターです。
世の中には”絶対音感”という特殊な能力を持つ人がいます。
僕は”相対音感”にはそれなりに自信はありますが、”絶対音感”の能力はありません。
一瞬で音階を察知できるのは羨ましいかぎりですが、逆にその能力が備わっていると世の中のあらゆるノイズが気になって気になって・・・ふつうに生活するのにも大変!などと聞いていますので、自分にはなくてよかったと思っています。
もうひとつ。
絶対音感があるのなら”絶対リズム感”というものも存在しているそうです。
実はそれこそ、ぜひ、自分に欲しかった能力です。
もちろん自分のリズム感が悪いとは思っていませんが、リズム感というものほど奥が深いものはありません。
なんせテレビでVTR作ったり、人と共同作業をするのにもリズム感は欠かせませんから。
すごい音楽には理由がある
ビル・エヴァンズというジャズピアニストをご存知ですか?
もし知らなくても音楽に興味をお持ちの方なら、一度は聞いておくべきミュージシャンです。
エヴァンズさんの若い頃の演奏をおさめた「ワルツ・フォー・デビー」というアルバムは今も世界で売れ続けており、多くの人々を魅了しています。
ぼくは40代の中頃、この人の音楽を”ちゃんと”聞いてから世界観が変わりました。
この”ビル・エバンズさんこそ絶対リズム感の持ち主である”という興味深い文章を、最近夢中になって読んでいる本で見つけました。
それが「すごいジャズには理由がある」という音楽学者とジャズピアニストの対話本なんですがこれが面白すぎる。
本の中でフィリップ・ストレンジさんというピアニストはこう述べています。
「多くの人のテンポは「アバウト=なんとなく」でしょう。でもエヴァンズとスコット・ラファロ(25歳で早逝したエヴァンズの相棒。天才ベーシスト)とかは「なんとなく」じゃない。
(中略)
こういう「絶対テンポ感」を維持するには、テクニックが完璧でないといけない。どういうことかというと。テクニックに癖や難点があると、そこでタイム(リズム感)がだめになる。テクニック的に苦手なところで、勝手にテンポが落ちる。
テクニックがだめなところが積み重なって、テンポが無茶苦茶になる。
他の人とタイムを共有する気がないのなら「じゃあ、なんで他人と(演奏)やるの?」と言いたいですね。
この言葉には大きくうなずきました。
やっぱり大切なのはリズム感
僕らのようなテレビの仕事をしていても、やっぱりリズム感は大切で、それなりの実力がある人は堂々としたリズム感を持っています。
相手に合わせることも出来ます。
また優秀な撮影チームはきっちりとしたリズム感をみんなが共有しています。
でも時にテクニックに難のある人や自分に自信がない人は時に焦ってしまい(意図せず)仕事相手のリズムを乱したりします。
でもリズムを乱された方はたまったもんじゃありません。
ちなみにフィリップさんによれば、クラシック畑でも他人との演奏が不向きな人がいるそうで、そういう人は自分が弾きにくい箇所になるとルバート(テンポを変える)したり、自分が弾けないところになると”やたら感情をこめたりする”そうです。
笑っちゃいますね。
というわけで様々な現場でアドリブ的な作業をするには、やっぱり最初は自分のテクニックを徹底的に磨いておく期間が必要なんでしょう。
ま、当たり前の話なんですが。
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