「ちちんぷいぷい」ありがとうございました

2021年2月22日月曜日

ちちんぷいぷい

t f B! P L
お早うございます。早起きディレクターです。
MBSの老舗番組「ちちんぷいぷい」の終了が今年の1月に発表されました。
僕は番組関係者ですからそのことは前々から聞いてはいましたが、あらためて新聞やインターネットの記事を見て、さすがに寂しさがボディーブローのように効いてきます。


1999年10月11日にはじまった「ちちんぷいぷい」


ちちんぷいぷいがはじまったのは今から21年前の1999年10月。
僕は当初からディレクターとして番組に関わっていましたが、生放送にもかかわらずスタジオに漂う「どこかまったりとしたテレビ的ではない空気感」が最初から気に入っていました。
ふつう本番前になるとテレビスタジオではどこでもフロアーディレクターが大声で「10秒前8、7、6・・・」とカウントダウンするのですが、そんな大袈裟なキュー出しは一切なし。
たぶんメインパーソナリティーの角さんのできるだけ自然な空気で」という意向だったのでしょう。


もっとも番組がはじまれば出演者は本音の応酬。
終了後の反省会でもスタッフ同士でかなり厳しい事も言い合い言われもしましたが、それでもどこかに温かくて家族的な空気を感じていました。

はじまりは「ちょっとみせてね」


僕が最初に担当させてもらったのは”世の中の知られざる情報を少しだけ切り取ってお茶の間にお届けする”というコンセプトの企画「ちょっと見せてね」
2分から10分くらいのミニVTRコーナーでした。

西宮戎神社でミス福娘が選ばれるまでの、あまり取材されることのない風景をコミカルに演出したり「平成11年11月11日の11時11分に世の中で何が起こるのか?」というテーマで仲間のディレクターたちと関西のあっちこっちを走り回ったりしたものです。
なかでも印象に残っている企画が瀬戸内海の離島で10数年ぶりに復活した小学校を舞台にしたミニドキュメンタリー。
あのとき小学1年生だった男女2名の小学生ももうすぐ30歳です。
いったいどんな若者に成長しているのでしょうか?
もしかしたら夫婦になっていたりして。


クイズ私鉄沿線〜歌碑物語


お笑い芸人の陣内智則くんが、関西の私鉄電車に乗ってクイズ探しに奔走した「クイズ私鉄沿線」では毎回スタジオでくりかえされる角淳一さんとのアホな口喧嘩に大笑いしていました。そのやりとりが本当の親子のようで微笑ましかった。

「女と男」の和田ちゃんやMBS若手アナウンサーがとっておきのグルメや便利商品などを紹介する「情報コーナー」では、めったに味わえない美味しいものや良品グッズとたくさんめぐりあいました。
今でも使用している鍋やグラスもありますし、大好物もあります。
舞鶴で焼き鯖を取材してから数年後に同じ市場を訪ねた時に、お店のメニューに僕と和田ちゃんの2S写真があしらわれていたのには笑いました。
今もあるのかな?



トランポリン日本五輪代表の廣田遥ちゃんが各分野で頑張る人々を応援する「肩こってませんか?」のコーナーでは取材するたびに多くを学び、同時に人間の底力を感じました。
頑張っている人々ってやっぱりみんな魅力的でどこか輝いているんです。
仲良くなって今でも連絡を取りあいお付き合いさせていただいている方もいます。


昭和歌謡が大好きな福島アナウンサーと全国の歌碑を巡る旅をした「歌碑物語」も楽しかったなあ。
ほとんど福島くんとディレクターの趣味みたいなコーナーでしたが、歌謡曲の好きな人には気に入ってもらえたのではないでしょうか。
僕は福井県の三方五湖を見下ろす展望台に五木ひろしさんの「ふるさと」の歌碑を訪ねた時がいちばん想い出深いです。
大好きな曲が題材になるとテンションも上がります。





佐川さんと長谷川さんとの出会い


ちちんぷいぷいの開始当時には5年ほどスタジオのサブディレクターをつとめさせてもらったこともありました。
話が長い時は出演者のトークに強引に割り込んでCMに入るジングルを鳴らすキューボタンを叩くのが快感でした。
話を遮られた角さんに本番中「吉岡!」と文句を言われたことも何度かありますが、そう言ってもらえるのも嬉しいものです。

でも元来自分はロケ好きなものですからプロデューサーにお願いして”旅もの”コーナーに代えてもらって今に至ります。
そして出会ったのが「前略旅先にて」。俳優でもあり歌手でもある佐川満男さん
さらに現在の「とびだせ!えほん」の絵本作家、長谷川義史さんです
思えば2006年から15年間も旅をさせてもらいました。

佐川さんの誕生日

とびだせ!えほん 忘年会

それぞれのスタッフの想い出とともに・・・


僕ひとりのディレクターだけでもこれだけ多くのコーナーに携わり、それに関わるたくさんの想い出があるんですから、これが「ちちんぷいぷい」の全スタッフ、全関係者となるともう途方も無い数です。
そんな番組に関わった人々がそれぞれの思いを胸にかかえて番組はもうすぐ終了しようとしています。
その思いはこれからどこへ向かうんでしょうか。                      
 
                      
「ちちんぷいぷい」は番組開始から21年半年。
一つの番組がそれだけ続くなんて、いまの世の中では稀有なことです。
でも長かっただけに別れの時までそろりそろりと進む時間がけっこう腹に響きます。
まるで離島のロケを撮り終えて、島の人々とお別れする船に乗っている時みたいです
だんだん遠ざかる島。
さようなら、ちちんぷいぷい。
名プロデューサーの岡田さん。
一緒に笑って過ごしたスタッフの仲間たち。
「ちちんぷいぷい」はだんだん遠く小さくなっていきます。
船に乗った僕らは力いっぱいに手をふりつづけます。














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プロフィール

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大阪市, 大阪府, Japan
関西在住。早起きのベテランTVディレクターです。これまで旅モノやドキュメンタリーを中心に活動。MBS「ちちんぷいぷい」の旅コーナー”『とびだせ!えほん』『前略、旅先にて』やKTV「ふるさとZIP探偵団」などを担当していました。 テレビ業界での経験話からドラマや音楽論。そして趣味の占星術まで色んなジャンルの話題をつづっています。

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