お早うございます。早起きディレクターです。
ジャズギターを習っていると音楽分野だけでなく、生き方や仕事の役にたつような”発見”がたくさんあります。
時に「ロケをする際の心得」に通じるようなことも学べます。
例えば「即興演奏(アドリブ)」の場合。
*ギターを弾かない人には退屈かもしれませんが少々おつきあいください。
プロの即興演奏
プロのギタリストになると即興演奏をする時には”やみくも”に指を動かしたりはしません。
その時に鳴っているコードを構成する時の”重要な音”・・・例えばコードがC(ドミソで構成)なら「ド」から3度上に当たる「ミ」や5度上に当たる「ソ」の音を適確に「狙い」ながら即興でメロディーを作ります。
コードの構成音を使ったメロディーは曲にしっとりと馴染み、安定感があります。
逆になんの狙いもなく、スケール(音階)内の音を指先だけで適当に弾いただけのメロディーは、何を言いたいのか”意図”がわからないので聞いていて困惑します。
それは「テレビのロケ撮影の時にも当てはまるなあ」と最近つくづく思います。
ディレクターはどんなシーンを撮影しながらでも常に適確に「絵と音を狙い」ながら進行しなければなりません。
偶然の出会いを期待する「とびだせ!えほん」のような旅コーナーでも「狙う」べき時(演出すべき時)は狙わなければなりません。
そうでないとカメラをだらだらとまわすだけの”プライベートビデオ”になります。
会話の内容によっては”ただの雑談”に終わってしまうことを避けるために、質問内容を誘導することもあります。(あくまで自然な流れに沿っての誘導です)
また、それが楽しい場面か悲しい場面かなどの違いで、その時に撮影する絵のサイズも場面の構成も変わってきます。
「ここは楽しい会話だったから最後はお別れの場面が必要」とか「この場面は相手の笑顔の表情でカットして終わり」とか「しみじみとした話だったから最後はロングショット。会話と音楽はフェイドアウト。その次は情緒的な歩きのシーン」などとディレクターが瞬時に判断しながらカメラマンや音声さんに指示をするわけです。
現場で考えながら頭の中ではBGMが流れているなんてこともしょっちゅうあります。
意図なく撮影していると掴みどころのないものになりますが、演出に狙いがあれば視聴者にだって何が言いたいのかは伝わるはずです。
しかも狙いがあれば、なんでもかんでも撮影せずに済むのでスタッフも楽ですし、編集する際もあれこれ悩むこともありません。
当たり前のことが無意識にできるのがプロ
話を元に戻すと、音を「狙う」なんてことはプロのギタリストにとっては「基本」で当たり前のことのようです。
基本を長年もやっていればいつのまにかそれが”無意識”にできるようになり、いつのまにかさらに上のレベルへも行けるんでしょう。しかも時には予期しなかった「狙ったもの」以上の名演が生まれることもあります。(これができるようになれば名人でしょうね
結局、芸事とはのそのような演者の鍛錬のたまものなのかもしれません。
「音など狙わずとりあえず指を適当に動かして演奏しよう」
そんな安易な考えでは素敵な即興メロディーは奏でられないことは間違いなさそうです。
そしてそれはわれわれの世界でもまったく同じ。
「とりあえず撮影してあとから編集で考えよう」では人の心はつかめないでしょう。
当たり前のことをくどくどと書いてしまいました。どうしても書きたい気分だったんです。最後まで読んでくれてありがとうございます。
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見