お早うございます。早起きディレクターです。
若い頃、僕が師事したディレクターに言われた言葉があります。
「ロケ現場で技術さんが活躍できる見せどころをディレクターが作りなさい」
いまもその言葉を反省とともに思い出します。
大阪の大手プロダクション時代
かつて僕がテレビの仕事を学んだプロダクションには制作と技術の両部門がありました。
そこはもともと放送局への技術協力から始まった会社なので、技術屋さんのほうが歴史も深いし、仕事量も人数も圧倒的に多い。当然、社内では技術さんの発言権が強くなります。
ディレクターになりかけの頃は現場にいけばいつもベテランカメラマンから叱られ、また教えられたものです。(中には僕の指示なんか聞いてくれないカメラマンもいました)
中でもいちばん嫌がられたのは”ディレクターに何のイメージもアイデアもない時”です。
泊りがけのロケでそんな中身のない「ステレオタイプ」の台本を用意してきた時など、恐ーいカメラマンから徹夜でお説教を受けるときもあります。
しかもそういう時は相手もお酒が入ってるのでヒートアップして止まりません。
一緒につきあわされる下戸の若い音声さんなどはさぞ迷惑なことだったでしょう。
でもそんな怖いカメラマンでも、いったん現場に出て、ディレクター側に積極的なアイデアや理想があればそれを叶えてあげようと懸命に知恵を使って協力してくれます。
こうして新米ディレクターもいつのまにか”いっちょ前”の口を聞くようになり、時にほめられるようにもなります。
でも、技術さんは裏方仕事ですから、そうそう花形になることはありません。
そんな一人前のディレクターになりかけの頃に先輩に言われたのが冒頭の言葉でした。
「ロケ現場で技術さんが活躍できる場をディレクターが作りなさい」
視聴者が思わず膝を打つような美しい映像・・・それを撮影する場所と時間をカメラマンに与えよ。
うっとりするような川の流れの水音・・・その音を収録できるような場所と時間を音声さんに与えよ。
その技術さんだからできるテクニックを駆使できる場を与えよ。
うちの先輩「ええこといわはる」でしょ。
技術さんの見せ場を作るのもディレクターの演出
現場が円滑に回るためにはそれぞれが主役になれる時間がないといけない。
それはきっと現場の技術さんだけでなく、編集さんや音効さんや美術さん、さらにアシスタントディレクターにいたるまですべて同じです。
みんなが輝くことのできる場と時間をディレクターが作る。
きっとそれも大事な演出のひとつなんでしょう。
そうはいっても新米ディレクターだった僕はまだ現場では余裕がありませんでした。自分のことでいっぱいいっぱいになって逆に技術さんをいつも焦らせていました。
あれから30年。
それを自分が今できているのかはわかりませんが、いまもその言葉は忘れません
温泉シーンのカメラマンと音声さん |
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