緊張感と鮮度を維持する方法
毎日猛暑が続き外に出るのも億劫な中、担当している旅コーナー「とびだせ!えほん」のロケも着々と近づいてきます。心は焦るんですが暑くて頭がそこまでまわりません。
仕方がないので、仕事から逃げるように連続ドラマ「大草原の小さな家」シリーズを再放送で見る日々が続いています。
昨日はシリーズの通算35作目の「愛の贈り物」という放送回を見ていたんですが、やっぱり安定した面白さ。
大円弾に向かうドラマの合間にも「人間の業」や奥深い苦悩も描かれていて、いち視聴者としては大満足でした。
でも見ている最中にふと気になることもあったのも事実です。
どういうことかというと、ここにきて物語の展開にあるパターンが増えているような気がしているんです。
主人公インガルス家の娘ローラはとても活発で普段は優等生な女の子なんですが、あまりにも純真すぎて、時にそれがあだとなり小さな事件がおこります。
昨日の放送回ではローラが敬愛する神父様に贈り物をしたいのですが、お金が足りないため、
あろうことか「ネズミ講」もどきの商売に手を出してしまう場面が描かれていました。
じつはその前の放送回でも家族を裕福にさせたいがために川で砂金探しをするシーンが描かれていました。
「俗っぽい展開で視聴者に阿(おもね)りはじめたの・・・」
視聴率を意識しだすと・・・
人間の「欲得」をドラマで描くことは別に構わないのですが、でもこれが2作も続くと「もしかしたら視聴率狙い?」と、少々うがった見方をしてしまうのがおっさんディレクターの悲しい性です。
このドラマには思い入れがありますし、ここまでの来し方や行く末があまりに気になったので、シリーズの最初の回「旅立ち」をあらためてもう一度見返すことにしました。
主人公の一家が新たな住み場所を目指して旅立つという記念すべき第1回目です。
「35回目と何が違うんやろう?」とわくわくしながら見た結論。それは・・・
1,緊張感が違う
2,感情の表現が繊細で細やか
3,テーマが生命に関わっている
1回目をあらためて見て第一印象として感じたのは映像の粗さでした。
カラー放送なんですが、当初の予算の都合からか、かなりざらざらした画像です。でも、それが逆に作品に「寂寥感」を生みだしているように思えます。それが視聴者を緊張させます。
カットも時に冗長に過ぎるときもありますが、そこには作者の思いが入っているますし、きめ細かく丁寧に描かれていますので見ていて全然飽きません。
逆にその潔さに引き込まれてしまいます。
いずれにせよ全体を貫く凛とした「緊張感」を全編から感じました。
ロッキーの2,3も好きなんですけど・・・
とはいえ35回目の作品「愛の贈り物」を非難する気は毛頭ありません。
テーマは若干俗っぽいですが、これはこれで素晴らしいエンターテイメント作品です。きっと当時は視聴率もかなり高かったんだではないでしょうか。
やらしい話ですが。
でもやっぱり少しだけ寂しい気分になるのです。
「ロッキー1」と「ロッキー2,3」のどちらがお好みですか?
そういえば「ロッキーの2や3や4」を見たときにも同じような気持ちになりました。
やっぱり続編でどれだけ工夫しても「ロッキー1」にはかなわない。
映画とドラマでは制作条件も違いますから同じカテゴリーで語るのは乱暴かもしれませんが、やっぱりシリーズを重ねるほど、続編が続くほど作品の持つパワーやエネルギーも弱くなるのでしょうか。
視聴者って心優しき味方にもなりますけど、時に冷酷な敵にもなりますから、シリーズを進めるために作り手が必死で創意工夫をしても、なかなか素直には認めてくれません。
とくにオリジナルに愛着が強い人ほど続編に厳しい見方をします。
「いらん事をするな!」の一言で終わってしまうこともあります。
もちろんなかには「エイリアン2」のような幸運な例もありましたけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿
ご意見