本日は「おうちで一緒に絵を描こう」第3弾の放送です。
相変わらず長谷川義史画伯はノリノリで、絵に関するいろいろな質問や似顔絵の描き方なども語ってくれています。
そして視聴者からいただいた絵のお題にも挑戦したんですが、その中のひとつに「お祭り」に関するテーマがありました。
ここで描かれている子どもたち。
実は長谷川さんにとって思い出深い大阪の川にまつわる映画に出てくる少年たちなんです。
宮本輝原作の映画「泥の河」
みなさんは「泥の河」という小説をご存知でしょうか?
1977年に発表された宮本輝のデビュー小説で、芥川賞や太宰治賞を受賞した作品です。
その後、1981年に映画化されたんですが、僕も20代の頃に映画を見た記憶があります。そして昨夜、数十年ぶりにアマゾンVideoで見返して衝撃を受けました。
長谷川さんの絵に出てくる子どもたちが映画に出てくる少年2人とうりふたつだったからです
「泥の河」は昭和30年の汚れた大阪・安治川べりが舞台ですが、30年代といえばまだ戦争の傷跡がいたるところに残っている時代。
ひとりの少年が戦争によって心に傷を負い、それを引きずって生活する幾人もの人びとと出会いながら成長していく物語です。
主人公は川のそばで大衆食堂を営む店の一人息子・信雄。
信雄はある日、雨の中で傘もささずに立っている少年、喜一に出会います。喜一は母と姉と舟で各地を放浪しながら生活しています。しかもどうやら母は男に体を捧げる商売をしているらしい。
近所の大人たちは「こどもは舟には近づくな」といいますが、それでも次第に心が通じ合うようになる少年たち。
そしてそれを優しく見守る喜一の両親(田村高廣と藤田弓子がまたいい芝居をするんです)
「おうちで一緒に絵をかこう!」の絵の中に映画の少年たちがいた
クライマックスは仲良くなった2人がお小遣いをもらって出かける福島の天神祭です。
ワクワクしながら出かける2人の描写も良いんですが、このお祭り最後のシーンは切なくて涙なしには見られません。
そして今回、長谷川さんが描いたお祭りのシーンがまさにこの場面なんです。
そこには少年、信雄と喜一(のぶちゃんときっちゃん)が忠実に再現されています。
もし本日のちちんぷいぷいの放送までに時間があるなら、是非、映画「泥の河」をご覧ください。
もし映画を見たら、きっと長谷川さんの描いた絵に衝撃を受けると思います。
そこにはあの日の「のぶちゃんときっちゃん」がいます。
それにしても長谷川さんってどんな記憶力をしてるんでしょうか?
この回は神回でした。1950年代に生まれた私にとって映画「泥の河」は最も感情移入した映画です。私の大好きな長谷川さんもこの映画に相当思い入れがあるようで、感動を共有していることに感激しました。
返信削除そういえば角淳一さんが、津川雅彦さんと街ブラする番組で、「泥の河」が好きで「私は信雄そのもの」というようなことをおっしゃていたことを思い出しました。でも津川雅彦さんは意に介さず、その温度差に、育った環境によって好みも変わるものか?と思うと同時に、この映画の良さが分かる人間でよかったと思いました。
ディレクターさんと長谷川さんとの掛け合いも楽しみです。これからもずっと「とびだせ!えほん」続けてください。