ディレクターという仕事を長いことやっていますが、まだまだ難解なことがたくさんあります。
「笑い」というのもそのひとつです。
別に「どうすれば面白いVTRが作られるのかがわからない」といっているのではなく(もちろんそれも難しいですが)、その場所や時間によって刻々と変化する「笑いの空気感」というものを理解するのが難しいということです。
まさに「笑い」って複雑に重なり合った絵の具のようです。
変なたとえですが、もし僕が転校生だったとしたら、初めて入った教室で出会った生徒たちの笑いにはきっとすぐにはなじめないだろうと思います。
これはテレビでも同じことで、ある制作スタッフチームが醸し出す笑いが部外のディレクターに理解できるとは限りません。
そのディレクターが斜に構えたタイプならなおさらです。
”なんとなく面白い”ような雰囲気に騙されぬように
そしてその「笑い」が一般視聴者のもとへ届くころには事態はもっと複雑になっています。
なんならテレビの中で無軌道にはしゃぐ出演者を見て不愉快になる人もいます。
そして最悪なのはその笑いによって誰かが傷ついてしまうことです。
特に若い頃は作っている本人たちは面白いけれど、それが自分本位で誰かが不愉快になっていることに無頓着だったなどということも、まま、ありました。
失敗は教訓にするしかないんですが後悔はしたくありません。
だから、ディレクターには(ディレクターに限らず制作者には)信頼できるフィルター(大人の目線)が必要なんでしょうね。
ぼくにもその信頼できるフィルターが幾人かいますが、それは誰でもいいというわけにはいきません。
もちろん最後は自分が判断するんですけどね。
でも、もう”ええ大人”なんですから「なんとなく面白い」に騙されぬようにしないといけません。「なんとなく面白い」は厄介です。
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