長年テレビの仕事をしてきたのでナレーターさん、つまり声でVTRの説明したり、時には情緒を盛り上げる役を担う「語り手さん」と接する機会が多くあります。
一般にナレーターは放送局のアナウンサーやプロダクションなどの声優さんがつとめることが多いのですが、演出意図や予算によっては有名な俳優さんを起用することもあります。またごくたまに声のいい制作スタッフが読むこともあります。
よほど予算と時間がない場合ですが。
以前にもブログで書きましたが「前略旅先にて」を担当していただいた元MBSアナウンサーの小池清さん など、名だたる語り手さんと仕事ができたことは自分にとって勉強にもまた良き記念にもなりました。
いろいろなナレーターと仕事をしました
僕は「音遊び」が好きなのでちょっと変わったジャンルの方にナレーションをお願いすることもあります。
なかでも思い出に残っているのが、懐かしの漫才グループ・チャンバラトリオの「かしら」こと南方英二さんです。
関西で有名なギャグ「あんたきらい、ツーン」とか「聞きたくない、聞きたくない」などで有名な大師匠です。
娘のような若い女性の旅道中を優しい目線で見守る父親のような声のナレーター。
しかもあまりナレーション仕事に慣れていない素朴な声の方、と言う条件でいろいろ探したところ南方師匠がイメージにぴったりだったんです。
当時師匠は65歳くらい。
漫才では大御所ですがナレーションは全く初めてでした。
大御所「南方師匠」でも緊張するナレーション
収録スタジオに緊張の面持ちでやってこられ、ご挨拶した時の第一声が「ほんまに私みたいなもんで大丈夫でっしゃろか?」
相当緊張してなおかつ恐縮してらっしゃいます。
それでも若輩者のディレクターに、とっても丁寧に接してくれるので逆にこちらが大汗をかいてしまいました
そして打ち合わせのあと原稿を読んでもらったところ、長年の舞台の経験からなんでしょうか、やっぱり声に深みがあります。
しかも丸くて暖かい。
そんな大御所がなんどもなんども失敗しては読み直し汗を拭きながらさらに読み返す。
モニターから聞こえる声だけでなく、ブースの中の姿まで温かく見えたものです。
まるくて天然の声
小池清さんにしても南方英二師匠にしても、どうやら僕は丸っこくて暖かく響く声の持ち主が好みのようです。
現在担当していてこの春9年目を迎えた「とびだせ!えほん」の語り手である寺田ゆみこさんもその一人です。(事務所的には寺田有美子さんです)
今から9年前。このコーナーを担当することが決定してナレーターを探していた時、当初は「サザエさん」のフネさんみたいな優しい声のおばあちゃんをイメージしていました。
だから番組プロデューサーから寺田さんの声の入った試聴CDを聞かされた時はちょっと意外でした。
少し鼻にかかった丸い感じの優しい響きはこれまであまり聞いたことのない種類の声だったからです。
さらに驚いたのは寺田さんが当時から担当してたFMラジオの生放送を聞いた時にも
CDと全く同じトーンでしゃべっていたことです。
CDと全く同じトーンでしゃべっていたことです。
「これは作られた声ではない」
いかにもDJっぽくない素朴な喋り方もかえって新鮮でした。
ちょうどその頃に担当していた「前略旅先にて」の特番で小池清さんにお願いする
予定が、突然体調を崩され代わりの語り手が必要になってしまいました。
予定が、突然体調を崩され代わりの語り手が必要になってしまいました。
そこで急きょ寺田さんにおねがいしてスタジオに来てもらい、声を出してもらったらこれが素晴らしかった!
出演者の世界感を暖かく丸く包み込んでくれます。
しかもあの小池さんの代役ができる人、、、ということで何だか不思議なご縁も感じました。
その後にお願いした「とびだせ!えほん」での語り口調、空気感はもちろん文句のつけようがありません。
ちなみに寺田さんはしょっちゅうスタジオの場所を間違えたり、またナレーション収録の本番中でも小さな子供のVTRを見ると涙ぐんだり、また大笑いしたりとけっこうピュア(天然?)な方です。
そしてあの優しい声以外にも、森進一的なドスの効いた声も出せるんですがこれも必聴です。
そのうち「とびだせ!えほん」でもそのドス声で読んでもらおうかなと思っているのですが、、、いかがなものでしょうか。
関連→ 忘れられないナレーター 小池清さんのこと
そしてあの優しい声以外にも、森進一的なドスの効いた声も出せるんですがこれも必聴です。
そのうち「とびだせ!えほん」でもそのドス声で読んでもらおうかなと思っているのですが、、、いかがなものでしょうか。
関連→ 忘れられないナレーター 小池清さんのこと
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